「サンドマン」オーディオドラマ EP 20 A Midsummer Night's Dream

オーディオドラマ最後のエピソード。

1593年6月23日のサウスダウン。シェイクスピアの一座はロンドンから次の公演場所へ向かっている。どうやら都会では疫病が流行っているらしく、地方巡業には感染症を逃れる目的もあるようです。

巨人の絵が見下ろすの丘のふもとでモーフィアスMorpheus(声:ジェームズ・マカヴォイ)が一行を迎える。
劇場も人家もない原っぱが「夏の夜の夢」の初演の舞台となるのです。
準備は終わったが観客はどこにいるのかといぶかる役者たち。モーフィアスは丘に描かれたロングマンに命じて緑の扉を開けさせ、向こう側から妖精たちが現れる。

このエピソードのコミックの絵はこれまでの陰鬱な絵柄とうってかわって、明るくイングランドの夏らしい爽やかさ。妖精たちが現れるこの場面はとりわけ豪華で美しい。

 

モーフィアスは地球を離れようと決意したティターニアたちへの餞別に「夏の夜の夢」を上演させる。妖精たちがいなくなっても人間たちがいつまでも覚えていられるように。

インターバルでは観客と役者のふれあいタイムが設けられ、座長はオーベロンに報酬を要求する。妖精王は気前よく金貨の詰まった袋を与える。

こんな大事な時に憧れのキット・マーローが死んだと知らされ動揺するシェイクスピア。モーフィアスはライバルの死を喜ぶかと思ってわざわざ教えたらしい。相変わらず人間の気持ちがまったく分からないモーフィアス。
インド人小姓を演じるのはシェイクスピアの息子のハムネット。少年を気に入ったティターニアは自分の王国で楽しく暮らそうと誘う。
舞台で演じられるお芝居と、観客の妖精たちが入り混じって、どちらが本物か、夢かうつつか混然としてくる。

 

夏至の夜は更け、芝居は終わり、妖精たちは去っていく。
最後はパックの台詞。役者は影、すべては一夜の夢、夢に免じてお許しを・・・

この有名な口上がオーディオドラマ全体の締めくくりを兼ねていて、もうこの上なくぴったりはまってる。
A Midsummer Night's Dreamをドラマの最後に持ってこようと決めた脚本家(ゲイマン本人か?)は慧眼だと感心しました。でもパック役の人は大役すぎて緊張しただろうなー。


翌朝、野原で目を覚ますシェイクスピア一座。
座長がもらった袋に入っていたのは木の葉でした。イギリスでも葉っぱのお金で騙されるものなのですね。

最後にハムネットが11歳でこの世を去ったことが告げられる。妖精女王が芝居と同様にお気に入りの少年を連れて行ってしまったのですね。


このあとクレジットがあるのですが、各エピソードごとの主要人物&脇役のアルファベット順のクレジットをマカヴォイが全部読み上げてくれます。お疲れさまでした。

 

 

 

“If we shadows have offended,
Think but this, and all is mended,
That you have but slumbered here
While these visions did appear.
And this weak and idle theme,
No more yielding but a dream,
Gentles, do not reprehend:
If you pardon, we will mend:
And, as I am an honest Puck,
If we have unearned luck
Now to 'scape the serpent's tongue,
We will make amends ere long;
Else the Puck a liar call;
So, good night unto you all.
Give me your hands, if we be friends,
And Robin shall restore amends.”

― William Shakespeare, A Midsummer Night's Dream