『カラマーゾフの妹』朗読版

カラマーゾフの妹』(高野 史緒)の朗読版をオーディブルで聞きました。


フョードル・カラマーゾフ殺人事件から13年、難事件解決専門の特別捜査官となったイワン・カラマーゾフが故郷へ帰ってくる。犯人は本当にドミートリーだったのか?職権乱用して事件を再捜査するイワン・カラマーゾフ


カラマーゾフの兄弟』の第二部をドストエフスキー以外の人物が書いたという設定です。
まさか第二部をサイコ名探偵ものにしちゃうとはビックリです。と言いながら出版された直後に読んでいるはずなのですが、まったく内容を覚えておらず。まああの頃は『カラマーゾフの兄弟』自体を理解していなかったから仕方ない。

(ここからネタバレしています)

シベリアに行っちゃったドミートリーと第一部で去っていったスメルジャコフは登場しません。アリョーシャは出てきます。
私の好きなラキーチンとネリュードフも出てくる。ネリュードフは相変わらず指輪をいっぱいしているお洒落さん。

イワンのワトソン役を務めるのは貴族のトロヤノフスキー。シャーロック・ホームズの通訳を務めたこともある気鋭の心理学者(トレポフ殺人事件か?)。
この有能な人物のおかげで、イワンが

(ネタバレしています)

 

 

 

イワンが多重人格だったことが判明。
そうか、悪魔ってイワンの別人格だったのか・・・と感心していたら大審問官もイワンのお裁き用人格だというので背筋がゾッとしました。

 

途中からひたすら「お願いイワン幸せになって」と祈りながら聞いていた。
以前に『カラマーゾフの兄弟』を読んだときには「イワンってつまらない人でよく分からないなあ」などと思っていたのに、いまではイワンがいちばんの推しになってしまった。

しかし漫然とスメイワを期待して聞いたのに、意外なことにスメアリョだった。
真の誘惑者はスメルジャコフだったという新解釈にしびれました。
面白かった。

朗読はイワンの声が低くて渋い。なぜかネリュードフが鼻づまりっぽくて愛らしい。
悪魔の喋り方が野村萬斎演じるエルキュール・ポアロみたいだった。
とても楽しんで聞ける朗読で、大当たり作品でした。

 

カラマーゾフの妹
著者: 高野 史緒
ナレーター: 小長谷 勝彦
再生時間: 9 時間 10 分