Caesar! シリーズ1 BBCラジオドラマ

マイク・ウォーカーMike Walkerによるラジオドラマ。元ネタはスエトニウスの『ローマ皇帝伝』。
アントン・レッサーがクレジットされていたので聞きました。ローマ帝国についてはほぼ何も知らない状態で聞いたので新鮮な驚きがたくさん。
シリーズ1から3まで各3話、計9話で構成されています。


1.Meeting at Formiae 

ユリウス・カエサルの暗殺後、キケロ(アントン・レッサー)が自分の別荘にユリウス・カエサル、彼の娘ユリア、カトーを招待した日を回想する。
ユリウス・カエサルとカトーを仲直りさせようとフォルミアエの別荘で宿泊宴会を企画したが、ディグニティを守ろうと対立する二人の溝はますます深まってしまった。
面子にこだわりすぎたシーザーもケイト―も最期には悲惨な最期を遂げる。伝統を重んじるカトーは割腹して自分のはらわたをつかみ出したらしい、恐怖。最後にはキケロも暗殺されると知っていて聞くと虚しい。
    
キケロの娘トゥリアとカエサルの娘ユリアが親友という設定。妻として娘として相反する人生を生きろなんて無理ゲーやろ!と二人で憤る場面が良い。この作品はどのエピソードも女性が名前のある役で登場します。
夜中に酔っぱらってマーブル(ビー玉?)で戦ったり、魚釣りで我を張りあったりするおっさん三人が可愛かった。キケロが完全主義者でちょっとでも家の中が乱れていると帝国崩壊の兆しを読み取っちゃうので、娘トゥリアがすべてを完璧にしようとパニックになってて気の毒。

アントン・レッサーが憂いに満ちた声で二人の争いを止められなかった・・・と語るところがとてもとてもとても良かった。しかしカエサルとカトーの声が似ていて聴き分けづらかったのと、そもそも三人の関係が分かってないので、何度聞き直しても意味が分からず、もう聴くのやめようかなと思わされたエピソードでもありました。

難しかったけど、いちばん含蓄に富んだ回でもあって、キケロが「美味しい無花果を食べたときは、歩きながらいくつか地面に投げておく。育ってくるかも知れないし育たないかも知れない。どちらでも構わない」などと深いことを言っていました。キケロのセリフはぜんぶ良かった。声がアントン・レッサーだし。

On Julius Caesar (David Troughton) and his dealings with Cicero (Anton Lesser) and Cato the Younger (Stephen Critchlow)

Plot
Julius Caesar makes an undercover visit to Senate leaders Cicero and Cato in order to gather support for the shake-up of Roman politics which would eventually lead to his supreme rule. 

David Troughton as Julius
Anton Lesser as Cicero
Stephen Critchlow
Juliet Aubrey
Emily Bruni
Andrew Harrison

 


2.The Arena  

アントン・レッサーは最初の一話で退場、全話出るかと思って買ったのでガッカリです。
第2話も人間関係が分からず、終始「何の話?」と思いながら聞きました(最後までこの状態が続く)

オクタウィアヌスの主役回です。
しかし英語のオクテイヴィアンOctavianがオクタウィアヌスOctavianusだというのがすでに分からない。usどこ行った。この人はアウグストゥス(英語オーガスタス)でもある。
オクタウィアヌスマルクス・アントニウス(英語マーク・アントニー)に軽んじられ、リウィア・ドルシッラ(英語リヴィア)との恋に燃えた若き日々を回想する。英語とラテン語の名前がかけ離れてる人困るわー。
悲恋なのかと思って聞いていたらめでたく結婚したのが意外でした。

On the early career of Octavian (Adam Levy), also featuring Jasmine Hyde as Livia and with Richard Johnson as the remembering adult Augustus

Plot
Octavian was 19 when Julius Caesar was killed. As Caesar's appointed heir, he had some formidable adversaries, including Mark Anthony, but his political skill was unparalleled.

Cast
Richard Johnson
Adan Levy
Ben Crowe
Clive Russell
Jasmine Hyde
Bruce Purchase
Gerard McDermott
Stephen Critchlow

 

 

3.Peeling Figs for Julius 

カリグラは「小さな軍靴」というあだ名だそうです。英語では「ブーティ」とか言ってて可愛かった。タイトルはカリグラが青い無花果が好きだという劇中のセリフから。


デヴィッド・テナントがカリグラを演じています。でも「テナントがカリギュラ!!!」というほどセンセーショナルな話ではなく、怖いティベリウス(英語タイベリウス)や厳しいリウィアばあちゃんのもとで育ったカリグラがついに皇帝になって、愛する母アグリッピナと大好きな姉を神格化しようとしてみんな(この作品の「みんな」はたいてい元老院)に反対されてちょっと可哀相だった。当時の人たちにはいい迷惑だっただろうけど。

On Caligula (David Tennant), also featuring George Baker as Tiberius, whom he had previously played in I, Claudius. Neil Dudgeon as Cassius Chaerea

Plot
Was Caligula as evil as we believe? Growing up in the poisonous atmosphere of Tiberius's court, his sister Drusilla was the only person he could trust.

Cast
David Tennant as Caligula
Joe Prospero (Caligula as a boy)
Priyanga Elan
Neil Dudgeon
Stephen Critchlow
Andrew Harrison
George Baker (Tiberius)
Susan Engle
Liza Sadovy
Bruce Purchase
Ben Crowe
Scott Brooksbank

 

 

自分の無教養さに打ちのめされながらいちおう最終話まで聞きました。

我ながらがんばったと思う。