Piranesi朗読版

スザンナ・クラークのJonathan Strange & Mr. Norrellがとても面白かったので、続けてPiranesiを聞いてみました。

男性の一人称で進む物語。彼は彫刻のたくさんある大きな館で暮らしているようです。
が、まったく状況が分からない。家の中に海があるの?部屋の外は宇宙?時々現れる「その他」とは?

「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」は曲がりなりにもヨークやロンドンが舞台だったので取っ掛かりがありましたが、「ピラネージ」は何のヒントもないまま聞いてとても混乱しました。
主人公の名前ピラネージは本名ではなく、一種のニックネームなのですが、なぜそんなあだ名がついているのか、かなりストーリーが進むまで明かされないし。

とにかく変わった小説です。読み終わったあとの満足感は限りなし、作者の慈悲は果てなし。
朗読のChiwetel Ejiofor氏の声もとても良い。預言者の声がとくに良かった。

 

 

Piranesi
By: Susanna Clarke
Narrated by: Chiwetel Ejiofor
Length: 6 hrs and 58 mins

 

テナント&シーンのグッド・オーメンズのオーディオ本が予約できるようになっている

アメリカとカナダでは販売されてるらしいデイヴィッド・テナントマイケル・シーン朗読のオーディオブックが1月22日からUKでも聴けるようです。

オーディブルUKで予約できるようになっていました。


プレ・オーダーすると当日に自動的に降ってきて嬉しさを味わえます。でも、もしかしたら本邦ではダウンロードできないかも知れないので、金曜日まで待ってみようと思います。(予約して買えない場合にはクレジットは返ってくるのだろうか?)


Adjoa Andohがキャスティングされていてすごくすごく聞きたいので日本でも販売してもらえますように。

あとずっと朗読だと思ってたが(ニール・ゲイマンがそう言ってたから)、ドラマタイズって書いてあるのでオーディオドラマですかね?

 

Good Omens
A Full Cast Production
By: Neil Gaiman, Terry Pratchett
Narrated by: Adjoa Andoh, Allan Corduner, Chris Nelson, David Tennant, Ferdinand Frisby Williams, Gabrielle Glaister, Josh Hopkins, Katherine Kingsley, Lemn Sissay, Louis Davison, Michael Sheen, Peter Forbes, Rebecca Front, full cast
Length: 12 hrs and 14 mins
Original Recording Audiobook
Release date: 14-01-22
Language: English
Publisher: Headline

Summary
A brand-new full-cast audio production of Good Omens, the internationally beloved novel and collaboration by best-selling authors Neil Gaiman and Terry Pratchett. Starring Michael Sheen as Aziraphale, David Tennant as Crowley and Rebecca Front as the Narrator.

According to The Nice and Accurate Prophecies of Agnes Nutter, Witch (the world's only completely accurate book of prophecies, written in 1655, before she exploded), the world will end on a Saturday. Next Saturday, in fact. Just before dinner.

So, the armies of Good and Evil are amassing, Atlantis is rising, frogs are falling, tempers are flaring. Everything appears to be going according to Divine Plan.

Except a somewhat fussy angel and a fast-living demon - both of whom have lived amongst Earth's mortals since The Beginning and have grown rather fond of the lifestyle - are not actually looking forward to the coming Rapture.

And someone seems to have misplaced the Antichrist....

Don't miss season two of Good Omens, coming soon to Amazon Prime Video.

Dramatis Personae:

Supernatural Beings:

Rebecca Front: Narrator

Michael Sheen: Aziraphale

David Tennant: Crowley

Humans:

Katherine Kingsley: Anathema Device

Arthur Darvill: Newton Pulsifer

Peter Forbes: Shadwell

Gabrielle Glaister: Madame Tracy and Agnes Nutter

Them:

Louis Davison: Adam

Pixie Davies: Pepper

Chris Nelson: Wensleydale

Ferdinand Frisby Williams: Brian

Ensemble:

Adjoa Andoh, Allan Corduner, Kobna Holdbrook-Smith, Josh Hopkins, Lorelei King, Matt Reeves and Lemn Sissay.

©2011 Neil Gaiman and Terry Pratchett (P)2019 HarperCollins Publishers

 

熟悪と若悪の対決 BBCテレビドラマ版「荒涼館」

チャールズ・ダンス様が出ているのでBBCテレビドラマ版の「荒涼館」を見ました。

話が入り組んでいてよく分からないまま見ていたのですが、チャールズ・ダンス様は弁護士のタルキンホーンを演じています。タルキンホーンはサー・レスター・デドロックという名士の顧問弁護士。
サー・レスターの妻レディ・デドロック(レディ・レスターとは呼ばないようだ)には結婚前に私生児を生んで養子に出したという秘密の過去がある。その私生児こそが主役のエスター・サマソンで、なんという運命のいたずらかエスターはデドロック家の近所に住んでいます。ディケンズでは行方知れずの肉親がけっこう近所に住んでることが多いですね。

タルキンホーン弁護士はサー・レスターの妻に秘密があることに感づいているようで、彼女に家門を汚すようなことはするなと警告する。たかが弁護士なのに主人より偉そうで怖い。サー・レスターはぼんやりしたお方で何も感づいていないようです。(実はすべて知ってて知らんふりだったらすごいな)

エスターは原作小説では美少女という設定のようですがBBC版ではグッド・オーメンズのベルゼブブ様を演じていたアンナ・マックスウェル・マーティン。美少女でない利点を上手く活かしていて、演技がとても上手い。

エスターにはミスター・ガッピーという崇拝者がいる。ガッピーってあだ名かと思ったら本名なんですって。毎回「こんにちはケンジとカーボイ法律事務所のミスター・ガッピーです」と律義に自己紹介してくれる。ガッピーはエスターのために彼女の出生の秘密を探ろうとする。ガッピー役はバーン・ゴーマン
レディ・デドロックの過去を嗅ぎまわっている現場をタルキンホーン弁護士に押さえられ、「デドロック家に手を出すな」と警告される。

ガッピーはビクつきながらもなかなか根性のあるところを見せ、タルキンホーン弁護士とわりと互角に渡り合います。

チャールズ・ダンス様の熟練の悪役とバーン・ゴーマン青二才っぽい悪役の対決が個人的に一番の見どころでした。

 

チャールズ・ダンス様は立ち襟がよくお似合いですよね。このドラマは照明やカメラワークが悪の魅力を引き出していて、BBCの悪役への理解の深さを感じました。

 

 

バーン・ゴーマンは将来(30年後くらい)には立派な老悪役に育っていると予想されるのでとても期待しています。


タルキンホーン弁護士はなぜかサー・レスターに忠誠を尽くしていて、タルキンホーン弁護士が凡庸そうなサー・レスターに捧げる忠誠心がよく分からないところの多いこのドラマの中でもいちばんよく分からなかった。過去になんかあったんか?と想像する気にもなれないほどサー・レスターがただの中年男性です。そこが萌えるのだろうか?


スモールウィードって金貸し役でフィル・デイヴィスが出ています。「BBCが上手い俳優をそろえてお見せしました」って感じのBBCオールスタードラマでした。
スモールウィードは背骨に障害があるらしく、いつも連れている孫娘に「ジュディ、揺すり上げてくれ」と命じて揺すらせるのですが、毎回ジュディがすごい顔で揺するのが愉快です。

 

フィル・デイヴィスが出てくると韓ドラでユ・ヘジン氏が出てきたときのような安心感を感じます。

 



偽スコットランド人問題「キングズマン ファースト・エージェント」

「キングズマン ファースト・エージェント」は予想していたよりだいぶ面白く、ロシアの部分が豪華で良かった。
しかしチャールズ・ダンス様の撮り方があまり分かっていない監督だなと感じられました。このあいだ見たBBCの「荒涼館」のほうがよっぽどチャールズ・ダンス様を活かしていた。

ところで、「キングズマン ファースト・エージェント」では準主役がスコットランド兵に化けて同僚に「お前本当にスコットランド人か?」と問い詰められる場面がありました。
準主役はとっさに"Aye"と答えるがスコットランド訛りが下手すぎてすぐにバレてしまう。

この映画には他にも重要な役でスコットランド人が登場するが、演じている役者はイングランド人と思われる。まったくスコットランド人っぽくなかったのだが、スコットランド人らしくないスコットランド人を出すことに何か意味があったのだろうか。

キングスマン・シリーズではマーク・ストロング演じるマーリンもスコットランド人という設定だったと思うが、あの役もスコットランドらしさが感じられず、何のための設定なのかと疑問だった。

こういう「非スコットランド出身俳優にわざわざスコットランド人役を演じさせる」現象には名前がついているのだろうか。「スコッツフェイス」とか?

 

「キングズマン ファースト・エージェント」のチャールズ・ダンス様はたぶん肩のゴテゴテした金モールと口髭が良くないと思う。キッチナーでは仕方ないのか。

 

「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」朗読版

スザンナ・クラークの「ピラネージ」が2021年の女性小説賞 Women's Prize for Fictionを受賞したそうです。

読んでみたいとは思うものの、まだクラークの前作「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」すら読んでいません。まず邦訳のあるほうから読むべきでは、と思っていたところ、Jonathan Strange & Mr. Norrellがオーディブルの3ポンドセールに出ていたので聞いてみました。日本語訳を読まないままのチャレンジです。

ダウンロードしたら32時間半もあって青ざめました。
しかも最初の1時間が何度聞いても頭に入ってこない。10回くらい聞き直したと思うが、とにかく入り込みにくい小説で、もうだめかもと諦めかけました。

しかし、ジョナサン・ストレンジの父親と召使のエピソードあたりから猛烈に引き込まれて、あとは毎日ずーーっと聞いていました。(理解できない部分は何度も戻って聞き返していたため合計数百時間はかかったのではないか)

一冊の本としてまとめられているものの、実際には数冊の小説がランダム配置されたような不思議な構成になっています。

主役のノレル氏はすごく感じ悪い自分勝手な男で、嫌いになって当然のキャラです。でも何十年も孤独に研究生活を送ってきて、やっと魔法について語り合える同好の士を得て嬉しくてたまらず、相手の都合も顧みずべらべらと知識を披露し、しかし自分の蔵書は貸したくないところとか何だか愛らしく思えて嫌いになることができなかった。
自分が悪いせいでストレンジと仲たがいして自分が悪いくせにしょんぼりしている場面が可哀相すぎた。

そしてまともそうに見えるもう一人の主役ストレンジが後半恐ろしい変貌をとげる場面の迫力。
最初の印象はヨークシャーの学究たちが趣味の魔法研究発表を楽しむ小説だったのに、どんどん違う物語になっていくところに驚かされました。

ラストはちょっとドクター・フーみたいで、こういうのがイギリス式ロマンチックなのかな。

 

あと、小説はどこに注が配置されているか分からないけど、朗読版は本文のセンテンスが終わった直後に注が朗読されるので、疑問がすぐ解決されるのが良かった。ただ、どこまで注でどこから本文に戻るのかちょっと分かりにくかったかな。注の朗読だけで30分も続いて、もともと何の話をしてたか思い出せないこともあった。とにかく変わった小説でした。

 

Simon Prebbleの朗読も小説の雰囲気にぴったりで、特にチルダマスの召使か紳士か分からない不敵な感じが良かった。

次はPiranesiを買ってあるので(ちょうど3ポンドセールに出ていたのでポチっておきました)正月休みに楽しみます。

 


Jonathan Strange & Mr. Norrell
By: Susanna Clarke
Narrated by: Simon Prebble
Length: 32 hrs and 29 mins

ヒュー・グラント朗読の『クリスマス・キャロル』

この季節になるとオーディブルで新たなバージョンが出るクリスマス・キャロル
今年はUKの会員向け無料プログラムにヒュー・グラント朗読版が追加になりました。

途中からヒュー・グラント目当てて聞いていたことをすっかり忘れてしまうほど引き込まれる朗読でした。

 

 


A Christmas Carol
By: Charles Dickens
Narrated by: Hugh Grant
Length: 2 hrs and 44 mins

「スワン家のほうへ」朗読版

「海馬を求めて潜水を」 にマルセル・プルーストの逸話が出てきたので、「失われた時を求めて」を読みたくてたまらなくなり、しかし自分で読むのは面倒くさい、そうだ、オーディブルに読んでもらおう!と思ったが日本版にはプルーストはないようです。

UK版で検索すると、ありました。あったどころか会員向け無料プログラムにありました。まだSwann's Wayしかダウンロードしてないけど、たぶん全巻あるんじゃないかと。(たぶん全巻は聞かないかと)
フランス語の小説を英訳で聞くってどうなのとも思いますが、フランス語分からないし。

早速聞いていますが、恐れていたほど難解ではなく、むしろ他の小説より分かりやすい。
そうでした、「失われた時を求めて」はマルセルが昔を思い出してダラダラ喋るのを聞くだけの小説。人々が挫折するのは難しいからではなく話が長いから。

そんなこんなでママンがお休みのキスをしてくれてるうちにスワンも登場して面白くなってきたのですが、そういえばマドレーヌはいつ食べたんだろう・・・まさか聞き逃したのか・・・あんな有名な場面聞き逃せるのか?

お休み前に聞くと、すぐぐっすり眠れるところも良いです。

 

 

Swann's Way
By: Marcel Proust
Narrated by: Neville Jason
Series: Remembrance of Things Past, Book 1
Length: 21 hrs and 33 mins