熟悪と若悪の対決 BBCテレビドラマ版「荒涼館」

チャールズ・ダンス様が出ているのでBBCテレビドラマ版の「荒涼館」を見ました。

話が入り組んでいてよく分からないまま見ていたのですが、チャールズ・ダンス様は弁護士のタルキンホーンを演じています。タルキンホーンはサー・レスター・デドロックという名士の顧問弁護士。
サー・レスターの妻レディ・デドロック(レディ・レスターとは呼ばないようだ)には結婚前に私生児を生んで養子に出したという秘密の過去がある。その私生児こそが主役のエスター・サマソンで、なんという運命のいたずらかエスターはデドロック家の近所に住んでいます。ディケンズでは行方知れずの肉親がけっこう近所に住んでることが多いですね。

タルキンホーン弁護士はサー・レスターの妻に秘密があることに感づいているようで、彼女に家門を汚すようなことはするなと警告する。たかが弁護士なのに主人より偉そうで怖い。サー・レスターはぼんやりしたお方で何も感づいていないようです。(実はすべて知ってて知らんふりだったらすごいな)

エスターは原作小説では美少女という設定のようですがBBC版ではグッド・オーメンズのベルゼブブ様を演じていたアンナ・マックスウェル・マーティン。美少女でない利点を上手く活かしていて、演技がとても上手い。

エスターにはミスター・ガッピーという崇拝者がいる。ガッピーってあだ名かと思ったら本名なんですって。毎回「こんにちはケンジとカーボイ法律事務所のミスター・ガッピーです」と律義に自己紹介してくれる。ガッピーはエスターのために彼女の出生の秘密を探ろうとする。ガッピー役はバーン・ゴーマン
レディ・デドロックの過去を嗅ぎまわっている現場をタルキンホーン弁護士に押さえられ、「デドロック家に手を出すな」と警告される。

ガッピーはビクつきながらもなかなか根性のあるところを見せ、タルキンホーン弁護士とわりと互角に渡り合います。

チャールズ・ダンス様の熟練の悪役とバーン・ゴーマン青二才っぽい悪役の対決が個人的に一番の見どころでした。

 

チャールズ・ダンス様は立ち襟がよくお似合いですよね。このドラマは照明やカメラワークが悪の魅力を引き出していて、BBCの悪役への理解の深さを感じました。

 

 

バーン・ゴーマンは将来(30年後くらい)には立派な老悪役に育っていると予想されるのでとても期待しています。


タルキンホーン弁護士はなぜかサー・レスターに忠誠を尽くしていて、タルキンホーン弁護士が凡庸そうなサー・レスターに捧げる忠誠心がよく分からないところの多いこのドラマの中でもいちばんよく分からなかった。過去になんかあったんか?と想像する気にもなれないほどサー・レスターがただの中年男性です。そこが萌えるのだろうか?


スモールウィードって金貸し役でフィル・デイヴィスが出ています。「BBCが上手い俳優をそろえてお見せしました」って感じのBBCオールスタードラマでした。
スモールウィードは背骨に障害があるらしく、いつも連れている孫娘に「ジュディ、揺すり上げてくれ」と命じて揺すらせるのですが、毎回ジュディがすごい顔で揺するのが愉快です。

 

フィル・デイヴィスが出てくると韓ドラでユ・ヘジン氏が出てきたときのような安心感を感じます。