アマゾンによくThe Guardという映画をお勧めされます。
日本語タイトルの『ザ・ガード〜西部の相棒〜』が混乱に拍車をかけているような・・・
邦題を見て西部劇なのかな?とか思ってたのですが、実はアイルランドでは警察のことをポリスではなくGuardというのですね。(とごく最近知った)
アイルランド語ではGarda Síochána na hÉireann、英語ではGuardians of the Peace of Irelandというそうです。
そういうわけでこの映画はアイルランド共和国の警察映画だったのです。
そして邦題の西部というのはアイルランド共和国西部のコネマラ地方のことだったの。
つまりヨーロッパのど田舎アイルランドのさらに西部のど田舎のローカル警察の物語なのですが、これがまったく予想を裏切る面白さでした。
主人公のボイル(Gerry Boyle (Brendan Gleeson))はコマネラ・ゲールタハトの巡査部長(Sergeant)。飲む打つ買うの三拍子そろった堕落警官です。
いまもアイルランド語が使用されている地の果ての荒涼としたこんなローカルな土地で麻薬取引が行われるというのでFBIから捜査官エヴェレットが派遣されてきます。エヴェレットを演じてるのはアベンジャーズとかに出てるアフリカ系の俳優さん。
エヴェレットはアメリカ人の上に黒人なので住民にぜんぜん相手にされず捜査は苦戦します。聞き込みに行っても英語しゃべってもらえないし。
悪役の麻薬密売人シーヒー(Francis Sheehy-Skeffington (Liam Cunningham))、コーネル(Clive Cornell (Mark Strong))、オレーリー(Liam O'Leary (David Wilmot) )は取引の邪魔になる警官を殺したり買収したりしています。
途中でボイルが原っぱに隠されてる武器をみつけて所有者に返すというよくわからないが重要なエピソードがあります。
共和軍にゲイがいたのかと驚くボイルに「一人か二人はいたよ。MI5に潜入するには他に方法がなかったし」とIRAの人。「マイケル・コリンズ」でチャールズダンス様がホテルで暗殺された場面にはそんな裏事情が・・・(違
トップからの指示でゴールウェイの警官はすべて麻薬取引が行われるコークへ動員されます。しかしボイルは本当の取引場所はスピドル(ゴールウェイの近く)と見抜き、一人で乗り込むのだった・・・
ブラックジョーク満載で、ときどきほろりとさせられるよく出来た映画です。
たぶんアイルランド人が見たら大爆笑なんだと思う。
公式サイト
以下恒例勝手な画像で勝手に説明
リアムさんは三つ揃いの上にコートという着こみすぎな正装で素敵。
警察のスマグラー資料。
前髪のあるマーク・ストロング初めて見たわ。
密売三人組は車の中でひまつぶしに哲学者引用クイズをしているようです。キャビンプレッシャー悪人版みたい。
人気の哲学者はみんなイギリス人なので機嫌が悪いリアムさん。
リアムさんはダブリン訛り大炸裂で楽しそうに悪役を演じていました。
ideal /aɪˈdɪəl/をオイディールと発音してて何がなんだか分からなかった。
ダブリンから赴任してきたばかりの警官が運悪く三人の車を止めさせてしまう。
リアムさんはすぐに相手がダブリン出身と見抜き、お前のことはよく知ってるぞなどと言い出す。
警官がすごく動揺してたのはなぜだろうと思ったら、彼はゲイでそれを隠すために東欧の移民女性と結婚していたとあとで分かります。ダブリンからゴールウェイに転勤になったのも何か都会でまずいことがあったのだろうか?リアムさんはなぜ分かったの・・・?
なぜか水族館で打ち合わせする三人組。水がすごく濁ってる・・・
一人だけ買収できない「ガード」がいるので困っているマーク・ストロング。
鮫はいいなあ、心がやすらぐよと怖い顔でやすらぐマーク・ストロング。
ボイルを脅迫しにきたリアムさん。
左端が主役のボイルです。
ボイルは頑固で話が通じず諦めるリアムさん。
頑固警官はほっといて麻薬取引は決行されます。
とっても可愛い決めポーズで"We gotta go"(やるぜ)と宣言するリアムさん。
まったく無関係ですが、アメリカ人に「Americaから来たんですか」と言ったら「States」と訂正されるんですけど、この映画ではAmericaって言ってた気がする。アメリカをステイツとか呼んでるのってアメリカ人だけなんじゃないだろうかという疑問はどこで解決できるのか。
ボイルはリアムさんにすら買収できなかった。
マーク・ストロングは「ところでガードって何?」と(いまさら)質問してたのでイギリス人にも分かりにくい単語なのでしょう。
いやー面白い映画だった。