ケン&テナント Takin' Over the Asylum 第3話

日本人でこれからこのドラマを見る人はあまりいないかと思いますが、ネタバレしているのでお気をつけください。

BBCサイト
Takin' Over the Asylum

第三話 You Always Hurt the One You Love

ケン・ストット(Ken Stott)さん演じるエディーの本業はセールスマンで double glazingという商品を売っています。日本では複層ガラスというらしい。
さぼってばかりで成績も上がらないのですが、喫茶店で朝食をたかってきた老女に親切にしてやると、彼女がじつは豪邸の主人で大きな注文をくれたので、今月のトップ・セールスマンとして表彰されます。
しかし老女は同僚(すげーヤな奴)の見込み客だったので、同僚に恨まれる結果に。

いっぽう夜DJをつとめている精神病院St Jude's Asylumのラジオ局は当初約束されてた予算がもらえず、存続の危機に。
患者たちは自分たちでお金を集めて運営しようと計画します。

キャンベル(デイヴィッド・テナント)は「どっちがルーニーでしょう」クイズで賭け金を集めようと提案。
ルール説明はあまりに早口だったのでぜんぜん分からなかったが、二人の人物のうちルーニーを当てたらお金がもらえるらしい。
さらにスパイク・ミリガンを呼べば盛り上がるとか言い出すキャンベル。スパイク・ミリガンの顔はみんなが知ってるからルーニーかどうかすぐバレだろとみんなあきれ顔。

病院の入院患者たちがどうしてここにいるのかははっきり語られず、いくつかのエピソードでだんだん明らかになっていく仕掛けのようです。
エディーは自傷癖のある女性フランシーン(Katy Murphy)と親しくなっていきます。フランシーンは普通っぽく見えるのですが、割れたガラスの上をはだしで歩いたり、タバコの火を自分の腕で消したり、ときどき夜中に悲痛な叫び声をあげたりして痛ましい。
近所にマクタヴィッシュという猫がいて、フランシーンは「あの太ったオス猫」と言うのですがエディーは「太ってるんじゃなくて妊娠したメス猫だよ」と笑います。
フランシーンは「妊娠」という単語を聞くと悲鳴を上げ始める。

そのあともマクタヴィッシュの話題が出るのですが、ケンさんが「マクタヴィッシュは妊娠してる」とかいうと微妙な気分になってしまう・・・


ラジオ局のマネージャーをつとめているロザリー(Ruth McCabe)は潔癖症
つねにゴム手袋をして、あちこちを消毒している。息子を亡くしたことが精神病の原因らしい。
症状がだいぶ落ち着いてきたので、退院して薬物治療を受けながら夫と暮らす予定。しかしロザリーはラジオ局の募金イベントが終わるまでは薬物治療を延期してほしいと医師に申し出る。

ロザリーの夫は消毒行為をやめさせようと彼女にお金を渡さないので、消毒液が買えないロザリーはストレスがたまっています。エディーが誤って最後の消毒液をこぼしてしまい、ロザリーはパニックに。エディーたちが消毒液を買いに走るあいだ、キャンベルがロザリーをなだめます。

ロザリーは息子が病気になったときに、夫から「お前の掃除の仕方が悪いからばい菌が入った」となじられ、あらゆるところを消毒したのですが、それでも息子は治らずとうとう死んでしまったと語ります。どうしてもばい菌を全部やっつけられない、消毒しつづけなければならないというロザリー。

キャンベルが何の病気だったのかと聞くと、ロザリーは
"Leukemia(白血病)"
キャンベルはロザリーを黙って抱きしめる。

あれ、何を長々と筋書きを書いてるんだろう?
俳優さんがみんなしみじみ上手いのです。そして脚本がすごく良い。
募金イベントに向けてみんなで団結してがんばりながらも、それぞれ他人が踏み込めない領域を持っている。エディーもアルコール依存症で立派な人生とはいえない。
みんなでお祭り騒ぎでもりあがる場面と、孤独な蔭の部分が絶妙に混ざり合ってて、安易な解決をしないところがいい。


イベントは大成功、お金もたくさん集まってラジオ局は無事に続けられることに。
スパイク・ミリガン(本人)も来てくれて、キャンベルと舞台にあがって「どっちがルーニー?クイズ」を盛り上げてくれました。

ロザリーは名マネージャーぶりを発揮して、てきぱきと仕事を進め、スポンサー(「平民の精神異常者に優しくしてあげているアタクシ」に酔ってるっぽい優しい笑顔のわざとらしい貴族女)にもお褒めの言葉をいただく。
迎えに来た夫に帰らないと告げるロザリー。


本当に良いドラマで、出演してる俳優さんたちはほぼスコットランド人だと思うのですが、地元の役者を使って地方のドラマを作れるっていいなあと思いました。