藤原道長兄弟はカラマーゾフの兄弟か?

とつぜん閃いたのでメモ。

大河ドラマ「光る君へ」の「パパ関白死んだふり回」を見てて、もしかして藤原関白家ってカラマーゾフ家を下敷きにしているのでは?と思いついた(ただの思いつきです)。

関白藤原兼家の嫡妻の息子は年齢順に
1.道隆
2.道兼
3.道長

フョードル・カラマーゾフの嫡子は
1.ミーチャ
2.イワン
3.アリョーシャ

年齢順だけで見ると藤原家とカラマーゾフ家の兄弟は
1.道隆=ミーチャ
2.道兼=イワン
3.道長=アリョーシャ
となるけど(いやならないだろうという理性の声はおいといて)、道兼(次男)が父に虐待されたといいつつ自傷した傷をみせる場面とかむしろアリョーシャっぽい気がする。道兼(次男)はすごくピュアなところもあるし。

道長(三男)が直秀を「最近見つかった弟」と身分を偽って打毬に参加させたが、直秀の父が貴族というのはありそう。母親の身分が低いので父の家を追い出されたというのは「光る君へ」でも「源氏物語」でも頻出するパターン。

直秀が貴族の子で

4.直秀=スメルジャコフ
だと考えると、スメルジャコフが傾倒し、わが身を犠牲にしたイワン=道長と解釈することも可能なのでは。
それなら、まひろが道長の悪魔、源氏物語は貴族社会を断罪する大審問官。

それにしても藤原家は父子みんな名前が似ていて紛らわしい、タカーチャ、カネーチャ、ナガーチャとか愛称で呼んだらいいのに。パパはイエーチャ。息子たちは太郎次郎三郎のままでいてほしかった。

今後、道綱がスメルジャコフとして再登場するのかも知れない。そして宝物をタイツに隠す道綱。ドストエフスキーって一度読むと一生楽しめるお得すぎる作家だ。

 

The Neil Gaiman at the End of the Universe

オーディブルで聞きました。宇宙の果てのザ・ニール・ゲイマン
なぜニール・ゲイマンに定冠詞がついているのか謎のタイトル。宇宙の果てのレストラン
The Restaurant at the End of the Universeのもじりだから?


クレジットにナレーター:ニール・ゲイマンとなっているので、自作の朗読かと思ったのですが、オーディオドラマで脚本家はArvind Ethan David、ニール・ゲイマンは演者です。

宇宙船の中で目覚めた男(ニール・ゲイマン)。記憶を失っていて、船のAIも故障している。外部と連絡も取れず自分が誰かも分からない。
船内を探索して、どうやら自分が200年前の作家ニール・ゲイマンらしいと知る主人公。
やることもないので、ニール・ゲイマンの作品を読むことにする。ただ、主役が狭い場所に閉じ込められているサンドマンは読む気になれない。

ニール・ゲイマンの小説の素晴らしさに感嘆する主人公(ニール・ゲイマン)。
宇宙広しと言えど、こんな役が許される作家はニール・ゲイマンだけでしょう。

ストーリーも良いが、キャラクター造形が優れている、と愛しげにニール・ゲイマン作品のキャラクターの名をあげていく主人公(ニール・ゲイマン)。
アジラフェルとクロウリー、彼らはone and allというセリフを聞いて、アジラフェルとクロウリーはやはり同じキャラクターの別の面を表しているのだなと納得。

主人公が船のAIにShipと呼びかけるところが好き。呼び方がセイヴァーデンっぽい。


ニール・ゲイマンの小説を読んで元気を取り戻した主人公は宇宙船の修理に取りかかる。すると船が「任務完了」と告げ、主人公は地球のベッドで目覚める。
彼は脳科学者か何かで、意識を失った状態で何かの実験をしていたらしい(よく分からず)。AIの声と思っていたのはパートナーで妻の女性の声だったのです。


SF作品として面白いというよりニール・ゲイマンニール・ゲイマンを演じる妙味を味わうオーディオドラマだった。
ニール・ゲイマンの声の演技が素人離れして上手い。

 

The Neil Gaiman at the End of the Universe Audible Logo Audible Audiobook – Original recording
Arvind Ethan David (Author)

Neil Gaiman, Jewel Staite (Narrator)

マーダーボット#7 System Collapse

マーダーボットダイアリーSystem Collapse(The Murderbot Diaries#7)をやっと読み終わりました。

(とてもネタバレしています)

 

今回はいつもに増して設定が分からなかった。
時系列としては「ネットワーク・エフェクト」の続きだと思う。マーダーボットはARTの大学チームと行動しているので、ついにプリザベーションとはお別れしたのかと思ったら、ドクター・メンサーも登場したのでちょっと驚き。大学とプリザベーションが合同で惑星調査をしているらしい。そしてメンサーは首長を退任したようだ。

プリザベーションとミヒラ大学の両方のキャラクターが全員登場するので、一人ずつの持ち時間が少ない。そして割と性格が似ている人が繰り返し登場するので、誰が誰だったか分からなくなってくる。ラッティ以外はあまり区別がつかなかった。

今回は入植者が絶滅した惑星の調査。かつてのコロニー跡に生存者がいるらしく、彼らを救出して、できればプリザベーションに加盟してもらうのが目的です。
しかし、コロニー跡にはコーポレート・リムが先回りしていた。生き残りたちは最近の宇宙トレンドを知らないので、企業に騙されて労働契約とは名ばかりの奴隷契約を結んでしまうかも知れない、がんばれマーダーボット!悪の企業から入植者を守れ!という内容でした。

東アジア人としては、江戸時代末期の日本や清朝末期の中国が列強から開国を迫られ、不平等条約を結ばされたことなどを想起してしまいます。
でもたぶん作者のマーサ・ウェルズはアメリカの奴隷貿易のメタファーとして書いてるのではないか。そしてコーポレート・リムとプリザベーションの対立はアメリカの南部連合と連邦の奴隷解放をめぐる戦いの比喩なのでは。 

そうか、マーダーボットって解放奴隷だったのかと思いながら読みました。黒人の解放奴隷が自由の身になったあと他の奴隷の逃亡を手助けしたように、マーダーボットも他の人間や警備ユニットの逃亡を助けている。

マーダーボットがミキだけは助けられなかったのは、ミキが日系だったせいなんだろうか。ご主人様(会社)のために自分を犠牲にする日本人はマーダーボットにすら救えないという作者からのメッセージか。

そういえばミキのご主人様はミキを家族扱いして可愛がっていたが、最後は自殺させてしまった。読んだ時になんかマダムバタフライみたいな日本情緒あふれる犠牲精神だと思ったのが今となっては納得できる。

 

辮髪のシャーロック・ホームズ3の元ネタ予想

莫理斯『香江神探福邇,字摩斯3:捲土重來』がめでたく出版されましたが、いますぐ台湾に飛んでいけない私はキンドル発売をむなしく待っています。

目次の各章タイトルだけで元ネタを予想してみます。

 

1.《空樓魅影〉:復帰第一作ということで「空き家の冒険」"The Adventure of the Empty House"《空屋》でしょう。


2,《巧還遺珠》:宝石が翼もないのに飛んでいく話・・・「ブルー・カーバンクル」"The Adventure of the Blue Carbuncle"《藍石榴石探案》かな?


3.《雷橋屍變》:橋といえば「ソア橋」。"The Problem of Thor Bridge"《松橋探案》。なぜ「雷橋」なのかと思いましたが、元ネタのソアは雷神トールのことだそうです。


4.《木氏謎墓》:「マスグレーヴ家の儀式」"The Musgrave Ritual"《墨氏家族的成人禮》だろうか?


5.《八仙過海》:八仙の陶器像に関わる事件、ということは「六つのナポレオン」"The Adventure of the Six Napoleons"《六座拿破崙半身像》?


6.《驚天密約》:国際的な密約といえば「海軍条約文書事件」"The Naval Treaty"《海軍協約》か?


早くキンドル版出してほしい。

辮髪ホームズ3が出た

莫理斯『香江神探福邇,字摩斯3:捲土重來』が出版されたようです。

博客来でお試し読みができるのですが、今回の段落区切りマークは十字架のようですね。各章のタイトルも紹介されています。

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〈空樓魅影〉:一八九八年,百日維新失敗,如何引出已壯烈殉國的第一神探?
〈巧還遺珠〉:無價之寶不翼而飛,疑犯八歲女兒委託救父,酬金是一文錢?
〈雷橋屍變〉:偏遠村落發生命案,疑兇畏罪自殺,化身殭屍在密室出沒!
〈木氏謎墓〉:殖民地政府拓展「新界」,帶出隱藏了六百年的歷史祕密。
八仙過海〉:神祕江湖人物不惜濫殺無辜,竟是為了追尋一套八仙瓷像?
〈驚天密約〉:庚子年,義和團之亂爆發,慈禧向列強宣戰,足以影響國運的密約在危急關頭離奇失竊。

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www.books.com.tw

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出版社は遠流出版、発売日は2月1日となっています。

m.ylib.com

辮髪ホームズ2《終極決戰》

莫理斯『香江神探福邇、字摩斯2 生死決戰』読み終わりましたので、元ネタを探ってみようと思います。
(辮髪のシャーロック・ホームズ第二巻のネタバレがあります。ご注意ください)

第六話《終極決戰》
タイトルで一目瞭然ですが、元ネタは『最後の事件』。
ほぼ本家ホームズと同じストーリー。ホームズと宿敵モリアーティがライヘンバッハの滝で死闘を繰り広げ、両者とも滝壺に姿を消すという有名なあの話です。

光緒20(1894)年、広州で疫病が発生し、大陸から避難民が香港へ押し寄せる。この時の疫病とはペストだったようです。
このころ福邇は上海で金玉均暗殺事件の調査中。
華笙は妻子と鶴心を福州の実家へ疎開させ、自分は香港に残って感染者の治療に奮闘します。当時の医師の感染予防対策が詳しく記述されていて興味深い。

香港に戻った福邇は華笙に国際政治に巻き込まれ、敵につけ狙われていると告白します。そこへ当の宿敵が訪ねてくる。モリアーティ、なるほどそう来たか!と膝をたたきました、確かに何語で読んでもモリアーティ。
モリアーティ教授(ネタバレ防止のため仮称)は、福邇に決闘を申し込む。二人はライヘンバッハの滝(ネタバレ防止のため仮称)で果し合いを行うと取り決める。

ライヘンバッハの滝(仮称)の場所選択がまた良い。わざわざそこまで行って戦う理由がちゃんとあるし、2チームに分かれて現場で落ち合う必要性もある。

寒い道中インヴァネスとディアストーカーを身に着けて準備万端の福邇、華笙が内心変な服と思っているところがおかしい。
福邇は後顧の憂いのないよう鶴心の身分を奴隷から良民に変えて遺産分けしておいた、と語る。イギリスはこのころすでに奴隷制を廃止していますが、香港在住の中国人は奴隷を所有できたようです。鶴心の自称は「奴婢」なのですが、謙遜ではなく本当に奴婢だったんですね。
華笙が自分も福邇の後顧の憂いの一つなのだと悟る場面が切ない。


死闘は本家ホームズと同じ結末を迎え、華笙は福邇の残した手紙を見つける。
この手紙でついに福邇が華笙を籥瀚賢兄と字で呼ぶのです。自分の署名も愚弟摩斯と字で記してある。最初動揺していて気づかなかった。
しかし文面が文語です、読めない漢字がいっぱい・・・日本語訳は書き下し文にするのかな、候文でもいいな。しかし読めないなりに眺めていると「長路漫漫」とか「有君相伴」とか香港ポップス風の書簡だ。

 

第二巻はここで終わり。作者ご本人がネットでもうすぐ第三巻が出ると発表していたので、《福邇》版『空き家の冒険』を楽しみに待つことにします。
しかし結末を知っていてもやはりライヘンバッハの滝(仮称)の回は悲しかった。

そういえば第一話《十字血盟》で丸に十字の奇妙な四つのサインが登場したのが《終極決戰》のヒントだったのかなあ。莫理斯氏の周到な目配せに感嘆することしきりです。

辮髪ホームズ2《諜海潛龍》

莫理斯『香江神探福邇、字摩斯2 生死決戰』読み終わりましたので、元ネタを探ってみようと思います。
(辮髪のシャーロック・ホームズ第二巻のネタバレがあります。ご注意ください)

第五話《諜海潛龍》
光緒18(1893)年の年末(旧暦なので西暦はすでに年が明けている)。この年、福邇は暹羅(いまのタイ)で国王のために事件を解決して白象勲章をもらっている。
華笙は第二子が生まれて忙しい。年が明けると福邇は傘を取りに戻ったまま行方不明のポルトガル人の事件を解決。
上記の2件は本家ホームズのオランダ王室とジェイムズ・フィリモア事件への言及か。


ある冷え込む夜、華笙が妻の補身のため魚のスープを煮る準備をしていると(優しい夫)、福邇が訪ねてきて「これからすぐ広州へ行こう」と誘う。

お迎えがHSBCの船で金融犯罪かと思わされたが、外交事件でした。
沙面のイギリス居留地からブルースさんとパディントンさんが関係する計画書が盗まれたのだ。当時はイギリス居留地とフランス居留地が隣り合っていたとか沙面の知識が増えました。

トリックが意外で面白かったのと、成語を間違って尻尾を出してしまう犯人が他人と思えなかった。

元ネタはそのまんま『ブルースパーティントン設計書』と思われます。

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今回AIが考えてくれたタイトルは

〇華笙と福邇、沙面のイギリス居留地での外交事件

〇魚のスープから始まる広州への冒険

〇華笙の妻の補身のために煮た魚スープ、冷え込む夜の優しい夫の思い

AIは魚のスープがよほど気に入ったのでしょうか。魚は牛鰍魚(コチ?)だったと記憶しています。香港では赤ちゃんが生まれたばかりの女性が飲むスープのようです。