The Ladies of Grace Adieu and Other Stories

スザンナ・クラークのThe Ladies of Grace Adieu and Other Storiesを買った。
まだ表題作のThe Ladies of Grace Adieuしか読んでないのですが、これが面白かった。

『ジョナサン・ストレンジとノレル氏』の番外編。
出だしは摂政時代の独身女性が牧師に求婚されるジェーン・オースティン風。
しかし牧師はジョナサン・ストレンジの妻の兄、独身女性は当地の女魔術師と判明してからはシェイクスピアか明るいアンジェラ・カーターのような展開に。

ジョナサン・ストレンジが義兄の求愛の助太刀のためノレル氏にしばらくお暇をいただく場面が楽しい。
ノレル氏はストレンジと一日いや半日でも離れたくないし、ストレンジが自分以外の人物と話すのも嫌なのです。ノレル氏は番外編でも変わらず陰気な萌えキャラです。

ジョナサン・ストレンジは田舎の魔女たち三人組に偉そうに魔法についてアドバイスしたりしてマンスプレイニング丸出しです。
しかし魔女たちに「ロンドンの魔術師」呼ばわりされて色をなして(酔ってたのか?)「わたしはシュロップシャーの魔術師でノレル氏はヨークシャーの魔術師だ、われわれはどちらもカントリー魔術師で少なくともその点は共通してる」と激高していた。でも『ジョナサン・ストレンジとノレル氏』でノレル氏はメイフェアの魔術師と呼ばれてたけど。

ストレンジは本心ではジョン・オストグラスを信じているが、ノレル氏に否定的な論文を書かされている。
魔女たちはストレンジの怯懦と矛盾を鋭く指摘する。女性は容赦ないな。

この短編集は女性魔術師が主役の作品集らしいので続きを読むのがとても楽しみです。