Cracker (Best Boys) 後編

もっと軽いドラマかと思って見はじめたのですが、まったく予想外の展開で、どどどどうなるの?の連続でした。

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(恒例ネタバレ&画像勝手にごめんなさい)

どうしてマンチェスターが舞台なのかなあと思ったら、グラナダTV(現ITV)ってマンチェスターにあるんですね。
イギリスドラマにマンチェスターものが多いのは制作会社の事情なの?


逃亡準備のため買い物するグレイディとビル。
深刻な状況なのに、グレイディに服を買ってもらってはしゃぐビル。
この子はいままで誰かとショッピングに行ったりプレゼントされたりしたことがないんですね。
ビルに腹を立てながらも冷たくできないグレイディ。

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一方警察の依頼を受けた主役のフィッツは死体の傷から二人組の犯行だと推理する。
一人は強い男で鍛えられている。


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もう一人は小柄で華奢な女。

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女は短気で先に刺している。
have the temperとtheがついているのはなぜだろう。

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だが二人のうち弱いのは男の方。女を守るために始末をつけた。
ここでフィッツがグレイディのほうがvulnerableだと推理しているのが面白い。

警察が男女のカップルを探しているのでしばらくは安全。

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グレイディの煙草を横取りして煙を吹きかけたり、こどものようにふざけるビル。


ショッピングセンターでビルが昔の里親を見つけて声をかけますが、元里親はそそくさと立ち去ってしまう。家まであとをつけるビル。命令されて運転手になるvulnerableグレイディ。

ここからまた急展開なんですよ。


ビルは自分は小さいころ里親をたらい回しにされるただの番号にすぎなかった、やっと母親になってくれる人が現れたが彼女は妊娠して養子縁組はキャンセルされてしまったと語る。

(だからって家まで押しかけてくる元養子って・・・怖いよ・・・)

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身の危険を感じた元里親はソーシャル・ワーカーを呼び、ビルは養護施設に連れ戻されそうになってしまう。
グレイディがビルを助けに入るが、ソーシャル・ワーカーは二人の関係を誤解する。
ビルは「彼は友達だ、俺にだって友達がいてもいいだろ」

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しかしソーシャル・ワーカーに「そんなに年上の男がお前の友達になりたがるのはなぜだ?お前はきれいな若い男だ、よく考えろ」と説教される。

(リアムさんだってじゅうぶん可愛いのに・・・と思うのは私だけなのか)

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他人は二人を見て年上のグレイディがビルの若さにつけこんでいると考えるのですが、実際には純情なグレイディが振り回されている。


ビルを施設に連れて行こうとしたソーシャル・ワーカーは殺されてしまいました。
ちょっと衝動的すぎませんか君たち・・・

二人は絶望的な逃避行を続ける。
苦悩するような寝顔が可愛いリアムさん。


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もうついていけないと言い出すグレイディ。
しかしビルに「あんたに一緒にいてほしくて殺したんだ」みたいな支離滅裂なことを言われてまたもほだされてしまう。

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炭酸飲料をかけあいながら走り回るリアムさんとジョン・シムが仔犬がじゃれてるように愛らしかった。
孤独な二人が必死でお互いにしがみついているのが悲しい。

犯行に使った車を燃やそうとして大やけどするビル。
まったく計画性ないなこの人たち。

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警察は大家の事件とソーシャル・ワーカーの事件を結びつけて、やっと犯人の目星をつけました。
この手配書のリアムさんの写真キュートすぎませんか。

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グレイディは三十五歳って設定。髪は茶色、目は灰色、身長6フィート。
リアムさんの目はグレイと表現される色なのか。ときどき青く見える。

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フィッツは彼らはただの犯罪者仲間じゃない、悲運の恋人たち(star-crossed lovers)、毛染め前のヴェニスに死すだと断言。
ロマンチックかどうか分からん表現だな。ジョン・シムがビョルンアンドレセン。

いまさらですが主役はこの人です。

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フィッツは警官たちにフライング・スコッツマンと呼ばれている。
演じてるロビー・コルトレーンスコットランド人なんですね。ハグリッドの人か。

みんな北部訛りだからマンチェスタースコットランドか区別つかない。
ジョン・シムはマンチェスター訛りって設定。リアムさんはジョーディかな?


病床のビルに「俺に会えてよかった?」とすがるように聞かれてますます逃げられなくなるグレイディ。
もうリアムさんを解放してあげて・・・と心の中で訴える私。

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医者が警察に通報し、ビルは逃がせたもののグレイディは捕まってしまう。


気の毒なグレイディがフィッツにじわじわと尋問&説得されるシーンがけっこう長い。
リアムさんは途中からずっと泣いてて可哀想。


フィッツはグレイディが同性愛者だとすぐに言い当ててしまう。
グレイディはひた隠しにしていたのに。(まあ周りの人も感づいてたみたいだけど)
軍隊に入っても、結婚して子供ができても(なんと妻子持ちだったのです)グレイディは常に異分子だった。


フィッツは「ビルが大家を刺したのはグレイディを助けるためだった、グレイディを愛していて幸せになってほしいからだ」と分析する。

なんか理屈がよく分からないのですが・・・

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涙を流しながら「彼には触れていない」と訴えるグレイディ。
可哀想・・・もう堪忍してあげて・・・

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しかしフィッツは意外にも「自分の思いを伝えるべきだった」と言うのです。

普通なら「未成年に手を出さずによく我慢したね」と褒められるところを「どうして愛してると言ってやらなかったんだ」と叱られて混乱するグレイディ(と私)。


フィッツはビルには自傷癖があり、何度も自殺未遂を起こしていることを教えます。
早くビルを保護しないとまた自殺を企てるかもしれない。
グレイディがついに落ちる瞬間、俺が殺した!俺がやった!と吠えるように自白するリアムさんの演技がとても良かった。

リアムさんは技巧的な演技派ではないけどいつも全力で体当たりしていて、見るほうもすごく感情移入してしまう。


ビルは元里親一家を人質に取ってグレイディに会わせろと要求。
人質を解放するよう一生懸命説得するグレイディ。

そして・・・

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悲しすぎる話だった。
グレイディは刑務所行きだろうし、また外れ者で辛い思いをするのだろうか。
もし出所できたら今度こそ良い人とめぐりあって幸せになってほしい。

フィルモグラフィーを見るとジョン・シムはこれがドラマ初出演。リアム・カニンガムさんも大きい役は初めてなんじゃないかと思う。
道理で二人ともぎこちないのですが、そこが初々しくてかえってリアルに感じられました。

はあ・・・可愛いリアムさん・・・



そしてドラマとは無関係だけど、17歳といえばダヴォスと出合ったときのスタニスの年齢。スタニスも孤児で助けを待っていた。
スタニスが小悪魔じゃなくてよかったなダヴォスちゃん・・・と思いながら見ました。(いつも通りのオチ)