Compulsory マーダーボット・ダイアリー番外編

2018年12月に発表されたマーダーボット・ダイアリーの短編。 'The Future of Work'という未来の労働についてのSFアンソロジーの収録作品のようです。
WIREDのサイトで無料で読めます。(登録不要)

www.wired.com

 


この短編の時期はマーダーボットがガヴァナー・モジュールをハッキングしてからプリザベーションの人たちに出会うまでの期間と思われます。

マーダーボットはある鉱坑で警備の仕事をしている。鉱山はどれも嫌いだけどここは最悪。働いている人間たちはお互いに憎みあっていて、いつ大虐殺が起きても不思議じゃないなーと思いながらドラマを再生しつつぼんやり警備している警備ユニット。
マーダーボットの生きている世界がいまひとつ分からないのですが、高度な仕事のこなせるロボットがあるのに、なぜまだ人間の肉体労働者が必要なのでしょう?コストが安いから?しかししょっちゅう設備を破壊したりお互いに殺しあいたがる人間にわざわざ警備をつけて見張るのはよけいコストがかかりそう。

なお、マーダーボットによると、警備ユニットの仕事は

1 労働者による会社備品の窃盗防止
2 労働者による会社幹部の殺害防止
3 労働者相互の意図的な殺傷行為による生産性低下の防止

だそうです。


現場ではAsaとSekaiという労働者がとりわけ険悪な関係で、とうとうAsaが事故を装ってSekaiを坑道に突き落としてしまう。
システムはマーダーボットに待機を命じる。しかしこのまま傍観していてはSekaiは救助が来る前に死んでしまう、どうするマーダーボット!
という話です。

 

文法的に分からないのが、AsaとSekaiの会話で

“They can’t talk,” he told her.
She shook her head [...]. “No, it talked. I heard it.”

The Future of Work: Compulsory, by Martha Wells


「あいつは喋れないよ」
首を横に振って「いいえ(「喋れない」は間違いで)、あいつは喋った」
というのはどういうことなのか。

英語の文法では
“Yes, it talked. I heard it.”「はい(「喋れる」が正しい)、あいつは喋った」になるのでは。

もしかしたらAsaとSekaiは日系なのかな。朝と世界。朝ドラのタイトルみたい。