「サンドマン」オーディオドラマ EP4: A HOPE IN HELL

オーディブルのオーディオドラマ「サンドマン」の感想です。
ネタバレしています&アメコミのことをまったく知らずに書いているのでご容赦ください。

コミック版「サンドマン」を読んだとき、なかなか面白さが分からなかったのですが、このA HOPE IN HELLでやっとアメコミの美というものが少し掴めたように思いました。
オーディオドラマもいよいよ佳境に入り、物語の面白さとジェームズ・マカヴォイの演技力が光るエピソードです。

夢の王モーフィアスMorpheus(声:ジェームズ・マカヴォイ)は失った3つのツールのうち砂の袋を取り戻し、パワーもよみがえってきました。
次は地獄へヘルメットを取り戻しに行こうと決意。地獄へ行けばルシファー・モーニングスターと対決しなければならない。
果たして明けの明星に勝つことができるだろうか?だが自分には夢の砂といくらかの力と希望がある・・・

冒頭けっこう長いモノローグがあるのですが、ここがちょっとシェイクスピア調の長台詞で、ニール・ゲイマンのナレーションと相まって詩のように美しい。
このエピソード自体も舞台劇のようで、不思議な味わいがあります。

地獄の門を首尾よく通り抜けたモーフィアスは苦しむ死者たちのうちにかつての恋人ナダの姿を見出す。
ナダは助けてほしいと懇願するがモーフィアスは「まだ許したわけではない」と素通り。ひどい・・・ナダは後のほうのエピソードでまた登場します。

ルシファー・モーニングスターLucifer Morningstar(声:マイケル・シーン)に目通りしたモーフィアスは地獄の主がアザゼル、ベルゼブブとの三頭政治になっていることを知る。
ドラマ版の「グッド・オーメンズ」で天使アジラフェルを演じたマイケル・シーンが今回は堕天使というのがポイントですね。
マイケル・シーンのルシファー(の声)はセクシーでひねくれたユーモアがあって、演技力が際立ちます。このエピソードは異様に演技の上手い人の集まり。

モーフィアスのヘルメットはコロンゾンChoronzon(声:パターソン・ジョセフ)が所有していました。コロンゾンは魔術師クロウリー関連のデモンらしいです。見たような名前がいろいろ出てきます。

パターソン・ジョセフはテレビドラマ版のNeverwhereでカラバス侯爵を演じてゲイマンファミリーに入ったようですっていうかNeverwhereテレビドラマになってたの。
天使イズリントンをピーター・カパルディが演じたようです。ううむ、オーディオドラマではカンバーバッチだったし、羨ましいなイズリントン。

と思って画像検索してみたところ、そういえばテレビ版も見たことを思い出して一件落着しました。

 

話がそれましたね。
見た目がドラゴンフルーツに似てるコロンゾンは一騎打ちで片をつけようと言います。
バトルの場所は現実界。方法は変身対決です。これって西遊記で見たことある。

人間界のバー、ヘルファイア・クラブのステージで夢と悪魔が持ち芸を披露しあうこの場面は1巻でも出色の場面だと思います。
先日ナショナル・シアター・ライブの 「シラノ・ド・ベルジュラック」を見たところ、マカヴォイ演じるシラノがスタンドマイクでポエトリー対決をしていて、「サンドマンと同じだ!」と思いました。

 

変身は具体から抽象へ展開していく。
宇宙規模の変身を見せるコロンゾンに押されるモーフィアス。だが、彼は自分は「あるもの」だと宣言する。それは地獄の住人達がそれなしでは存在できないものだった。

ヘルメットを取り戻して去っていくモーフィアス。
「兄弟たち、いつかあいつを破滅させてやる」と復讐を誓うルシファー・モーニングスター

 

ネタバレなんですけど、ルシファーはずっと後のほうの巻で地獄の経営がいやになり、店じまいして出て行ってしまいます。
コロンゾンは地獄を追い出されてからずっと煉獄かどこかにいたらしいが、この時に思い出してもらって戻ってくるのでファンになってしまった方もご心配なきよう。

 

 

 

EPISODE 4: A HOPE IN HELL


NARRATED BY NEIL GAIMAN

FEATURING

STARRING JAMES MCAVOY AS MORPHEUS

ALSO STARRING

PATERSON JOSEPH AS THE DEMON CHORONZON

MICHAEL SHEEN AS LUCIFER

RAY PORTER AS BEELZEBUB + SQUATTERBLOAT

KERRY SHALE AS ETRIGAN + AZAZEL

TRACY WILES AS AGONY

JULIA WINWOOD AS SKEWERED HEAD + ECSTASY