スティーブン・フライのエドワード朝人の秘密 Stephen Fry's Edwardian Secrets

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Stephen Fry's Victorian Secretsが好評だったのかエドワーディアン版も公開されました。

エドワード7世、愛称バーティの治世といえば、降り注ぐ柔らかな陽光のもと芝生でお茶を楽しむ人々・・・を誰もが思い浮かべるらしく、スティーブン・フライがあのうっとりさせる声で永遠に続く芝生と午後のお茶について喋っていると専門家がいきなり登場して
「アフターヌーンティというのは、ディナーパーティを開きたいけどフランス人シェフも銀器セットも持ってないミドルクラスが「自分は人と違ってマナーとかよく知ってる」と見せびらかすためにミルクが後とか先とかスプーンの位置とか細かいことで差異化しようとした」
とぶった切っていて面白かった。

いちおう各回のメインの話題があるのですが、わりと話はあちこち飛んで、しかし最後は次回のエピソードにつながるようになっていて、うまいこと着地させるなあと感心。しかも最後のほうになると、どの回にも共通したモチーフ「美食」「美女」「変装」「階級」「人種」などがちりばめられていると気づく仕組みです。

Secret Suffragettes
「サフラジスト」と「サフラジェット」が分岐していくところが興味深かった。サフラジェットに比べたら、爆破も破壊もしない現代のラディカル・フェミニズムは文明的なもんですな。
映画「サフラジェット(邦題『未来を花束にして』)」の監督のコメントもあって、とても勉強になりました。

What the Butler Saw
当時のイングランド女性の半数近くが他人の家庭で家事労働者として働いた経験があり、多くの女性が使用人を使ったことがあった。
つまり、メイドはイギリス女性のほぼ全員が関わる職業だった。
有名な「執事はなんでも知っている」というフレーズとは違って、メイドと女主人の間で起きていることを男たちは知らなかった。
アレクサンドラ王妃が全国のメイドをねぎらうために何度もお茶会を催したというちょっといい話も紹介されています。アレクサンドラ・オブ・デンマークといえば夫の浮気や厳しい姑で苦労した人ってイメージしかなかったが、ミュージックホールの芸人出身の貴族夫人とも親しくしてたというエピソードも出てきて、苦労人に対しては親切だったのだろうか。

Lady Detectives and Gentlemen Spies
このころ女性の私立探偵が登場したんですね。メイドの変装をして犯人を探ったりしたらしい。
しかし有名な女性探偵は仕事中は男装をしてたが、郊外の自宅に帰ると子持ちの主婦として過ごした。仕事が変装か私生活が変装か分からないところが面白い。彼女は法律家の一族出身で、バリスターやソリシターの兄弟や知人がたくさんいて仕事を回してくれたというのも興味深い。

変装とスパイの話題には、娘時代のヴァージニア・ウルフも参加した「ドレッドノート事件」も出てくる。ブルームズベリー・グループの伝記とかで読むと「当時の大学生は悪ふざけが好きだったのねえ」と思うだけだが、国際的なスパイの活躍の流れで出てくると、国力を結集して建設した軍艦にこんな怪しげな外交使節を乗せちゃうってイギリス海軍のセキュリティどうなってんのと呆れますね。この数年後に第一次世界大戦が勃発すると知っていると特に。

 

これをタダで聞かせてくれる英米オーディブルは本当に太っ腹だと思いますが、スティーブン・フライという魅惑の源泉を握っているのも強みでしょうか。

 




Ep 1: A Hard Act to Follow
Ep 2: Big Helpings
Ep 3: Small Worlds
Ep 4: Black Edwardians
Ep 5: People of Breeding
Ep 6: Destitute Foreigners
Ep 7: Secret Suffragettes
Ep 8: Pan Freud
Ep 9: Sex Under the Microscope
Ep 10: What the Butler Saw
Ep 11: Lady Detectives and Gentlemen Spies
Ep 12: Countdown

 

 

Powered flight. Votes for women. Human sexuality. Mass migration. The psychology of dreams. The magic of the movies. Spies and detectives. Welcome to Stephen Fry’s Edwardian Secrets. 

Perhaps thanks to TV period dramas, the popular imagination may picture the Edwardian era as an idyllic window between the wars, a time of manners and tea on the lawn. But below the surface lies a frenetic and often bizarre age where scientific leaps forward went hand in hand with belief in fairies, and secrets of sex, lies and murder simmered. 

Across 12 episodes, in this sequel to his Victorian Secrets, Stephen Fry uncovers some of the startling and unexpected hidden histories of the Edwardians.

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