「グッド・オーメンズ」 フルキャストプロダクション

オーディブルUKで予約して1月22日の夕方に降ってきました。
日本のオーディブルでも聴けるようです。お値段はちょっとびっくりするけど、たぶんお試しで一冊目は無料のような気がするので、興味があればぜひトライしてみてください。

フルキャストプロダクション」というのは地の文はナレーターが喋り、台詞の部分を各役の俳優が喋るスタイルでした。セリフがカッコ書きにされていない意識の流れっぽい場合はナレーターが地の文として読むルールのようです。結局ニール・ゲイマンの説明が正しかった。

ラジオドラマ版と違って、脚本家の取捨選択がなく、すべての文章が朗読されます。
冒頭のニール・ゲイマンによる前書きまで朗読されます。(ここはご本人担当)

本は長いこと読み返していなかったので、こんな場面もあったのかと思い出せて良かった。
ただ、1990年に出版された本なので、現在ならこういう表現は使わないのではと思う部分もありました。
たとえば、

Many people, meeting Aziraphale for the first time, formed three impressions: that he was English, that he was intelligent, and that he was gayer than a tree full of monkeys on nitrous oxide.

Gaiman, Neil; Pratchett, Terry. Good Omens  

 

とか、southern pansyとかは今だったらどうだろう。

自分の勘違いが訂正されたのも良かった。
アナセマが天使と悪魔の車に乗せてもらったあと、クロウリーがアジラフェルを「天使」と呼び、「自分は安全だったんだ」と気づく場面。
これまでアナセマは「天使の車だったから大丈夫だった」と安堵したのかと読み違えていて、どうして天使と遭遇してこんなに冷静なのかなと疑問だった。
これって、クロウリーとアジラフェルがゲイのカップルだったと勘違いして、女の自分が襲われる心配はなかったと思ったんですよね?ここ笑うとこやったんか・・・とやっと気づいた。遅い。

‘Can we get on?’ said Crowley. ‘Goodnight, miss. Get in, angel.’
 Ah. Well, that explained it. She had been perfectly safe after all. 

Gaiman, Neil; Pratchett, Terry. Good Omens

 

最後にボヘミアンラプソディーのコピーライトが入っててちょっとびっくり。歌詞の引用も著作権が発生するんですね。

全体を通して聞くと、クロウリーとアジラフェルが出てくる場面ってかなり少ない。テレビドラマだと二人が主役のようだけど、小説では狂言回し的な役割。

お目当てのAdjoa Andohは「アンサンブル」としてクレジットされていてどの役か分からなかった。サンドマンを見習って全員読み上げてほしかった。
たぶん悪魔崇拝尼僧修道の修道院長役だと思うんです。ゼイアト通訳士みたいな喋り方だった。他の役も演じてるかも。

もう一つ不満なのは、章分けが少なすぎる。最後の章なんて6時間くらいあってどこで休憩すればいいの。
もっと細かく分けてほしいし。どうせ買う人はテナントとシーンの声が聴きたいんだから、二人の登場する部分は分かりやすいトラック名をつけてくれればもっと売れると思う。

 

 

Good Omens
A Full Cast Production
著者: Neil Gaiman, Terry Pratchett
ナレーター: Adjoa Andoh, Allan Corduner, Chris Nelson, David Tennant, Ferdinand Frisby Williams, Gabrielle Glaister, Josh Hopkins, Katherine Kingsley, Lemn Sissay, Louis Davison, Michael Sheen, Peter Forbes, Rebecca Front, full cast
再生時間: 12 時間 14 分
配信日: 2022/01/14