ドラマ「待女の物語」The Handmaid's Tale

(ネタバレしています)

先日ラジオドラマを聞き終わり、原作小説も再読したので、そろそろドラマも見てよいかと判断して見てみました。Huluで配信しています。

 

 

 

 

最初のほうは原作とほぼ同じ。1980年代に発表された原作よりテクノロジーが進んでいるのでより身近に感じられる。
原作にはなかった携帯やパソコンが普通に存在しているし、個人商店ではなく大型スーパーで買い物しているのも現代とのつながりを感じさせる。

 

ハンドメイドたちが住まされる高官の屋敷は予想よりずっと美しく植物がふんだんに飾られているし、町全体も静かで落ち着いていて安全そうなところがかって恐ろしい。

 

あの原作を忠実にドラマ化するとこのようになるのだなと感心しつつ見ていたが、5話目くらいに「わたしたちはハンドメイド」というヒロインの声と共に通りのあちこちから侍女たちがあらわれて集団で歩いてくるラストシーンに勢いがあって意外だった。
そのあとメキシコ大使が登場したあたりから、ただ耐えるだけだったハンドメイドたちが行動するようになってきて原作とはかなり違った印象のドラマに。。。

あのメキシコ大使のインパクトはすごくって、ハンドメイドたちよりもワイフたちに与えた衝撃が大きかったと思う。あのシーンを書いた脚本家はすごいな。

 

原作小説はあまり動きがなくて、ヒロインがただ耐えるだけの恐怖のディストピア小説だったが、そのまま映像化しただけではドラマにはなりにくいのか、テレビドラマはハンドメイドたちがけっこう自分で考えて行動していてあんな状況なのに爽快な部分もある。

赤と白のお仕着せは服従を表しているが、彼女たちが集団で行動すると、あのかさばる顔の見えない衣装は脅威にもなりうる。


地獄でも友達はできるし、地獄で生き延びるには友達が必要。
原作ではうざいだけだったジャニーンがドラマではうざいなかにも守ってやりたくなるキャラクターに成長させてもらってたのもよかった。

 

小説はヒロインの一人称でコマンダーたちやワイフたちの心情には立ち入っていないが、ドラマでは彼らの過去の描写もある。
彼らも夢も欠点もある人間だったと分かる反面、理解できないモンスターに支配される恐怖は薄められてしまった。
同情したくはなかったがセリーナ・ジョイが可哀そうになった。天国を建設したつもりが地獄に閉じ込められてしまった女。自業自得なんだけど。

  

いまごろ気づいたけど日本で手作りのことをハンドメイドと呼ぶのは和製英語ですね・・・