サミュエル・ウェスト朗読のスイミングプール・ライブラリー 

オーディブルで洋書を聞いて英語力アップ!」というブログはたくさんあるので、「オーディブルでまったく英語力アップに役立たない作品を聞いて感想を書くだけ」を目指しているブログです。
間違ってアクセスしてしまった方すいません、お気をつけておかえりやす。

アラン・ホリングハーストの「スイミングプール・ライブラリー」が今日のワゴンセールだったので買いました。
朗読はサミュエル・ウェストです。


「スイミングプール・ライブラリー」・・・昔すごく話題になって読んだなあ、どんな話だっけ。確かゲイの一代記みたいな話だったような・・・
と気軽に聞いて打ちのめされました。複数の意味で。


ウィル・ベクウィスは公衆便所で心臓発作を起こした老人を助ける。その老人チャールズ・ナントウィッチ卿は偶然にもウィルと同じスポーツクラブの会員だった。
ナントウィッチ卿から伝記の執筆を依頼されたウィルは彼の日記を読み始めるが・・・


主人公は貴族で大金持ちで金髪で青い目で名門パブリックスクールからオックスフォードに進み、人生にまったく欠けたところのない人物。
しかし、せっかくの才能と優れた肉体を男漁りに費やすだけの無為な日々を送っている。


ほとんどひたすら身も蓋もないゲイの肉体関係が続く。

文章がとても美しいので、もっと高尚な内容にしてくれてもいいのではないかという作者への恨みがつのってくる。あえてこういう底の浅いキャラクターを主役にしたんだよね、分かってるよ、でも拷問みたいだったよ。

ゲイ文学としては大きな意味のある作品だったのでしょうか。しかしなぜこんな延々と××とか△△とかいう英単語を聞かねばならないのか・・・。つらい・・・

 

サミュエル・ウェストの朗読がとても上手く、特にウィルの親友のジェイムズはサミュエル・ウェスト本人の姿で想像してしまうほど臨場感がある。
ナントウィッチ卿はどうしてもデレク・ジャコビを連想してしまうのだが・・・

 「ザ・ロング・ファーム」でデレク・ジャコビが演じた「マーク・ストロングのカモにされる愛らしい同性愛者貴族」を思いうかべながら聞いてた。

 

ウィルとナントウィッチ卿の生涯が世代を超えてとても似通っていて(どちらも貴族で学校も同じだし、似たようなゲイライフを送ってきた)、しかしある決定的な違いがあるんですよね。
この衝撃の場面だけは覚えてて、固唾をのんで待ち構えてたが、数十年ぶりに聞いたらそれほどショックでもなかった。
自分が年をとったのか、それとももともとそんなにスキャンダラスな事件でもなかったのかも。なにしろウィルはけろっとしてまた男に色目を使ってたし。


卑語が非常に多い。英語のリスニング教材としてはあまりお勧めできないように思う。
しかしそのことよりも、Nワードが頻出することに驚かされる。
ナントウィッチ卿が20世紀前半に役人としてアフリカに赴任して黒人が大好きなのでとてもカジュアルに愛情をこめてNワードが連呼されてる。当時は差別用語と思われていなかったのか。それとも気にしてなかったのはイングランド人だけで、英国的傲慢を描いているのか。

 

過去の回想に文化人もたくさん出てきて、ロナルド・ファーバンクやE・M・フォースターも登場する。


そういえばサミュエル・ウェストを初めて見たのは映画「ハワーズ・エンド」だったなあ。思えば長いおつきあいだ。


The Swimming Pool Library
By: Alan Hollinghurst
Narrated by: Samuel West
Length: 12 hrs and 22 mins
Unabridged Audiobook
Release date: 19-09-06
Language: English

 

 



Summary
This novel centres on the friendship of William Beckwith, a young gay aristocrat who leads a life of privilege and promiscuity, and the elderly Lord Nantwich, who is searching for someone to write his biography.
©2006 Alan Hollinghurst (P)2014 Audible, Inc.
Critic reviews
"West has a lot of fun with the waspishly clever dialogue, and, provided you ensure it's not overheard by listeners of delicate sensibilities, this is terrific to listen to." (Karen Robertson, The Sunday Times)