Audible洋書 マーダーボット・ダイアリー Network Effect

先日出版されたマーダーボット・ダイアリー第五話「ネットワーク・エフェクト」をオーディブルキンドルで楽しみました。

 

 



シリーズ初の長編。

まだ日本語訳が出てないのでネタバレしないように感想を書きたいがネタバレしないのは難しい・・・
既訳を全話読んでないかたはこの記事は読まれないほうが良いです。楽しみがなくなります。

第4話の続き。マーダーボットはドクター・メンサーの契約セキュリティユニットとしてプリザベーション・ステーションに滞在している。
メンサーは相変わらずグレイクリスの刺客につけねらわれていて、マーダーボットは心配でしかたがない。メンサーの家族(配偶者だけでも数人いる。こどもたちや親族もいっぱいいる)にもプライバシーおかまいなしに水ももらさぬ警備を実施してメンサーの家族から嫌われるマーダーボット。

しかし、ステーションを離れてドクター・アラダ率いる探査隊に同行することに。なぜならその探査隊にはインターンとしてメンサーの長女アミナが参加してるから。「ノープレッシャー!」と言い放つマーダーボット。すごいプレッシャーやな・・・

いつも通りとつぜん敵に襲われる探査隊。敵から逃げてワープ空間(っていうんだっけ)に滑り込んだものの、今度は巨大な船に捕まってしまう。その船には乗組員はおらず、運航を担当するボットの存在も感じられない。この幽霊船は一体・・・・!?
と言っても作者本人が発売前にいろいろトークイベントとかで喋ってたから謎キャラの正体はみんな知ってるよね。マーダーボットと謎キャラの合同Q&Aとかもやってたし。

アミナは思春期真っただ中で、ママに恋している(と一族みんな思ってる)マーダーボットに反抗する。
メンサーの弟の夫ティアゴもメンサーに色仕掛け(?)で取り入った(と一族みんな思ってる)マーダーボットを目の敵にするし。

ケビン・フリーさんの朗読も相変わらず楽しい。今回は登場人物が多いから大変。コンピューターの冷静声と怒り声の落差が面白い。


今話はプリザベーションがどういう政体なのか少し詳しく解説があります。
新自由主義、企業利益絶対正義の社会が行きつくとこまで行ったコーポレート・リム。今回は数世代にわたる年季奉公契約で働く人まで登場します。要するに親子代々に渡ってずっと奴隷なのですが、人権ガン無視ブラック契約ですら必死で守らないと生きていけない。

プリザベーションはそんな企業支配主義から逃れた人々が作った社会。
食べ物や住居、教育は無料、人々は自分の興味のある仕事をして、異性とも同性とも複数でも結婚でき、人間らしい生活を送っているようです。
名前から見るとたぶんインド系だと思うのですが、オメラスから歩み去るガンジーって感じの人々が作った社会なのでしょうか。


マーダーボットは「コミュ障で可愛い殺人ロボット」の面白日記の体裁をとりながら、「人権とは」「よりよい社会とは」「人間の生き方とは」という重いテーマを追求しているようです。

小ネタ
・マーダーボットが「カンパニー」や「ザ・カンパニー」と呼んでる元雇用主企業にはちゃんと固有名詞がある。
しかしマーダーボットは自分の日記の中でさえ会社名を削除して隠してしまう。会社を思い出すのでロゴのついた服も着たくない。
いったいどんな名前の会社だったのかいつか明らかになるんでしょうか。

・アミナはメンサーを「二番目のママ」と言ってるので、生んだのはメンサーではないようです。メンサーと他の女性のあいだに出来た娘さんなのか?

 いったい前世でどんな功徳を積めばメンサーと結婚できるのか教えてほしい。

 

Network Effect
By: Martha Wells
Narrated by: Kevin R. Free
Series: Murderbot Diaries, Book 5
Length: 12 hrs and 48 mins
Unabridged Audiobook
Release date: 05-05-20
Language: English
Publisher: Recorded Books