Ancillary Justice 朗読版

アン・レッキーの「叛逆航路」をオーディブルで聞きました。
なぜか長い間「あなたのお住いの地域では提供できません」となっていたのですが、最近めでたく日本でも聞けるようになったようです。良かった。

 

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朗読はAdjoa Andoh。オーディブルのアン・レッキーの作品はすべてこの人が朗読しています。
いまグーグル検索してみたら、容貌が自分の想像の中のブレクにそっくりで驚いた。

しかし、ブレクにしては声が親切そうだし、セクシーすぎるように思う。映画「キャロル」のケイト・ブランシェットのような温かい官能的な声なのです。
ブレクってもっと冷たくてぶっきらぼうなイメージないですか。
しかしセイヴァーデンに対してだけはそっけない口調で、そこは禿萌えました。

Adjoa Andohはブリティッシュなのですね。Lieutenant(日本語訳では「副官」)の発音が「レフテナント」だった。作者のアン・レッキーはアメリカ人だけど、アメリカの小説なのに「ルーテナント」でなくていいのかな?

ラドチ帝国シリーズの特徴は「階級や出身地がラドチ語の発音(とくに母音)」に顕著にあらわれるので、ちょっと喋っただけでお里が知れてしまうってところですよね。
「上品な発音」はどう表現するのかなーと思って楽しみにしてました。
艦船やアナーンダ帝はRPっぽい発音、それ以外はさまざまな方言が混じったような感じ。
上流のはずのスカーイアトがあんまり柄のよくなさそうな喋り方で意外。
セイヴァーデンもそれほど上品ではないような・・・まあセイヴァーデンは最初のほうはろくにセリフがないのですが。

オーン副官はとても慎重に喋っていたが、焦るとアイルランド訛りみたいになって激萌えでした。
2巻で出てくるティサルワットもアイリッシュっぽいアクセントにされていた。

固有名詞の発音が自分の想像と違うのがいくつかあって、「オマーフ」宮殿は「オーマー」、「アウェル」家は「オーウェー」、「ルルルルル」(の素人版)は「アー」みたいな発音だった。最後のはブリティッシュが「r」を発音するときのあの「アー」です、といってお分かりいただけるだろうか。

日本語でも英語でも何度も読み返した作品で、読むたびに衝撃を受けているのですが、朗読で聞くとさらに発見があってとても良かった。
歌にもちゃんとメロディがついてて、「私の心は魚」とか「武器を持つ者を恐れよ」とかも聞けるのが嬉しい。
あ、でも歌がうますぎるというか、やはりブレクにしては美声すぎる気がする。でも悪声の朗読を何十時間も聞くのは聞き手にとってもつらいだろうし。

そしてセイヴァーデンがとにかく可愛い。ブレクから嫌われてるのに、セイヴァーデンはブレクを「運命の相手」(そして初恋相手)と信じてどこまでもついていこうとする。

 このシリーズってブレクとセイヴァーデンがカップルになるのかどうかハラハラさせられるのですが、何度も出てくる流行ドラマの「ヒロインが艱難辛苦の末、忠義を認められて愛を勝ち取る」をセイヴァーデンもなぞっているのでしょうか。